昨日は、4コママンガのことを書いたが、
あれから一生懸命考えて、
僕にしては、とてもいいマンガが、出来たのであった。

万葉集の歌からとった。

秋の名歌、

夕されば 小倉の山に鳴く鹿は
今夜(こよひ)は鳴かず い寝にけらしも

好きなので、ここにもよく書く歌である。

夕方には、いつも鳴く鹿が、
今日は鳴かない、
共寝の相手が、見つかったのかなぁ、

という、やさしい気持ちになる歌なのであるが、
マンガは、さらに、切なく、愛しいものに、
なってしまった。

また、次回の時にでも、
ストーリーを紹介するかもしれない。

僕は、鹿がどのように鳴くか、
よく知らなかったのである。

ずいぶん前、テレビで、
キリンが、牛のように、「もー」と鳴くのを、
聞いたことがあったから、
一瞬、
夕方、山のほうから、
「もー」と聞こえるのを、想像したが、
違うだろう、と思えた。

今朝、「日めくり万葉集」を見ると、
丁度、この歌を紹介していて、
嬉しいことに、鹿の鳴き声も、
聞かせてくれたのである。

「クルピーーールル」っていう感じの、
高い鳴き声で、
上手く、夕方の映像と合わせて、
見せてくれた。
これが、夕方に聞こえてきたら、
たまらないなぁ、と思えるものであった。

共寝の相手を求めて鳴き、
伴侶を得たら、鳴かないのだ、と、
万葉の人たちは、思ったそう。
実際は、どうなのか知らないけれど、
そうなのかもしれない。

また、万葉の歌では、鹿は、萩を妻にする。
萩の枝や葉についた露の雫を、
鹿は、萩の花に、
首飾りにプレゼントするのである。

萩の花は、
シベリアから飛んでくる、雁(かり)の鳴き声を聞いて、
咲くのだ、と。

それも丁度、中西進先生の、朝日新聞連載の、
「万葉こども塾」でも、読んだ。

生き物は、みんな結ばれている、と。

夏の間は、そういうことは、あんまり思わず過ごしたが、
やはり、秋だから、
いろいろなことが、感じられるのかもしれない。

洋司