昨日は、京劇を観に。

以前、
「花の生涯~梅蘭芳」という映画を見て、
京劇を生で見たいなぁ、と思っていたところ、
丁度、
中華人民共和国建国60周年記念、
日中文化協定締結30周年事業として、
「TOKYO京劇フェスティバル2009」の開催を知り、
実現。

素晴しかった。

幕が開いて、舞台に、
綺麗な衣装と、独特のメイクをした俳優さんたち。

目くるめく。

裏声と合わせた不思議な歌や台詞が、次々歌われるし、
まるで雲の上をスーッと進んでゆくような舞も、
夢の重力、美しかった。

国家第一級俳優、という方々が、次々登場するのである。
その技術は、相当なもののようである。

映画「花の生涯」では、
1930年、ニューヨーク公演で、
観客の反応が、
中国でのものと、全くちがう、という場面がある。

中国なら、目線やポーズが決まるたびに、
大喝采なのであるが、アメリカは皆、シーンとして、
じっと、見ている。

ポーズは、歌舞伎の見栄みたいな、感じであるが、
それは、一瞬ひらり、とやってきて、
さっと、別の舞に移ったりするので、
慣れていないと、
目を奪われるばかりで、拍手のタイミングを逃す。

昨日の公演でも、観客は皆、
見逃すまいと、じっと見ている感じであったから、
役者さんたちには、勝手が違ったかもしれない。

日本の人は、おとなしい、という、なんだか、
ビートルズの武道館公演を思い出すような、
あの感覚。

でも、客席の皆が、喜んで見ているのは、
しっかりわかる。
最後には、割れんばかりの拍手で、
役者さんたちも、本当に嬉しそうであった。

あの、豪華絢爛な衣装を見て、
奈良、新薬師寺でみた、十二神将立像を思い出した。

十二神将立像は、今は、色はほとんどはがれているけれど、
8世紀に作られた頃には、それはきらびやかな、
まばゆいばかりの色彩であったのである。

あの塑像たちが、きらびやかな元の姿にもどって、
動き出したら、これだな、という場面もあり、
興奮した。

映画で見た、スクリーン越しにもどかしかったものが、
今は、スーッと体の中に染み込んでくるようで、
心地良いのである。

洋司