顔に、右利き、左利きがあるとしたら、
僕は、左利きである、と思う。

首から上は、利き腕とは逆という、
それかもしれない。
僕は、利き腕は、右なので。

笑おうとするときに、顔面の左の側のほうが、
少しやわらかい、という実感があるのである。

そう思って、眉尻を上げてみると、
左は少し上げられるが、右は上げられない。
両方同時になら、なんとか上げられる。

昔、アメリカ人の、眉尻を上げる人の、
左右どちらが、どれぐらい多いか、というような、
記事を、読んだことがあるような気がするが、
忘れた。

子供の頃見ていた、
アメリカのテレビドラマ「サイボーグ危機一髪」、
宇宙飛行士のスティーブ・オースティン大佐だったか、が、
事故で重症を負い、600万ドルで、サイボーグに。
そんなようなことであったと思うが、
走るのが、速かったり、
片目の視力がとても良かったり、
力が強かったり。

このスティーブが、
よく、どちらかの眉尻を、上げる表情をしていて、
僕は、それが好きであった。

とにかく、僕で言えば、元々、表情は硬いのであるが、
右顔面は、特に硬い。

意識して、右顔面を動かすようにしてみたり、
ビジネスマンがよくやるという、
顔をすっきりさせる、顔の体操などを、
時々するのである。

リハーサルの発声練習では、
鏡と向き合って、意識して、表情も大きめに、
している。

顔も、油断していると、癖みたいなもので、
固まってゆくと思う。

やわらかくないまでも、せめて、
やさしく微笑むことのできるコンディションを、
顔面においても、整えておきたく、思うことであった。

洋司