寝ている時に見る夢は、
何のためにあるのか、
何か、それらしきことが書かれた本を、
読んだことがあるような気もするのであるが、
納得などできようか。

目を閉じて、じっとしている間に、
あれほどの、ものすごい映像やら、
ストーリーやらを、
あたかも、今体験しているごとくに、
展開させられる、この技は、
どんな魔法であろう。

僕など、今朝は、
行ったこともない、ものすごい国へ、
行かされ、
今まで見たどんな景色より、
すごいじゃないか、などと、
思わされながら、目が覚めたところで、
それから、二時間ばかりたつのに、
いまだに、その国の、
匂いまで、忘れられずにいるのである。

どうしてくれよう。

ここになにか、爽やかなことでも、
書ければいいと思いながら、
すでに書いては消しの、
数十分を過ごしたが、
結局、今も、その国を、
映像も音声もないままに、
さまよっているような、
ここに存在しないものを、
求め続けるという意味で、
ロマンティックである。

物事に影響受けやすい者が、
これに影響受けずにおられようか、
とも思えるが、
ここにざっと書かせていただいたおかげで、
少し、逃れられた気もするのであった。

洋司