今朝も、日めくり万葉集、
中西進先生が出られてて、嬉しく見る。

少し前の放送で、中西先生が、
一番好きな歌、と選ばれた東歌、巻十四の三四〇三に続き、
今朝は、三四〇四。

上野の 安蘇のま麻群 かき抱き 寝れど飽かぬを あどか我がせむ

(口語訳)
上野(かみつけ)の安蘇(あそ)の麻束を抱き抱えて寝るのに満足しない
私はどうしたらよいのか

講談社文庫の中西先生全訳注の「万葉集」を見れば、
「ま麻群 かき抱き 寝れど」のあたりは、
一人寝に、麻束を抱いて寝る体験も、相手を麻束のように抱く共寝も示す。
共に想像。とあり、三四六五の歌と類想されている。

三四六五、口語訳は、
高麗錦の紐を解いて共寝もした。その上にどうしろと言うのか。
不思議に愛しいことよ。
とある。

今朝の放送では、三四〇四の歌も、
共寝により、恋は成就したが、どうしたらいいのか、というふうに、
話しておられ、ナレーションの口語訳のときに、(選者訳)と書かれていた。

いろいろの解釈があるということと思う。

麻束を抱えて寝るが、満足できない。
どうしたらいいんだ。

相手を、抱いて寝たが、満足できない。
どうしたらいいんだ。

それがまた、麻を収穫するときの、労働歌だったと。
いろんな意味を重ねて、歌って、楽しんでいる感じもする。

アフリカからアメリカに連れてこられた人たちが、
綿畑で、歌った労働歌。
やはり、いろんな意味を重ねて楽しませるブルースに、
発展した感じを、思い出すところもある。

洋司