太宰治の「パンドラの匣(はこ)」、
映画化で、完成披露試写会があったそう。

出演俳優の窪塚洋介が、舞台挨拶で、
原作を読んで、面白くて衝撃、
声を上げて笑い、
書き留める言葉もあり、
最後のほうでは、ぐっとくる台詞があり、
など、話したそうである。

僕も、何度も読んでいるが、
僕などは、太宰のほかの作品に、
もっと、大笑いさせてもらったり、
もっと、衝撃を受けたり、
もっと、ぐっと来させてもらったり、
したもので、
「パンドラの匣」は、
楽しいけれど、ちょっと、終戦直後の、
精神的なシフトとか、
たぶん、元になった日記の、
生真面目さ、なんかが、
感じられるもの、というような感想で、あった。

久しぶりに読めば、
やっぱり、面白く、
以前、読んでいた頃より、
感じられることが、多くて、
驚くことであった。

以前、特に太宰にはまり込んでいた頃というと、
12年ぐらい前だったか、
それから、今までの、自分のことに、
重なるところも、多いような気がして、
前は、ただ、明るく、希望あるもの、を、
さらりと、書いているように感じられた部分も、
今は、深く、ぐっと来た。

万葉集の歌が出てくるところなど、
忘れていた。

あまりにも、良くて、
ふるえるほどであった。

それは、太宰には、もっと、すごいのが、
いっぱいある、という、ふるえでもある。

洋司