橘の寺の長屋にわが率寝(ゐね)し
童女(うなゐ)放髪(はなり)は髪上げつらむか

万葉集、巻十六の三八二二。
作者未詳。

古歌に曰く、とある。

昨日は、これと、もう一つ、朗読させていただいたのである。

私が昔、橘寺の長屋に連れて来て、共寝をした、おさげ髪の少女は、
髪を結い上げるほどの大人の女性になって、他の男と結婚しただろうか。

と、いう歌である。

お坊さんが、僧坊で、幼い少女と、というように、読めてしまうけれど、
ここは、少女が少女だったように、
男のほうも、ずいぶん若かったのだ、
と、思いたい。
十歳になるかならないかでも、結婚した時代である。
今とは違う。

あの少女も、今は大人の女性になり、きれいになって、
誰かのものに、なったんだろうなぁ、などという、
今でも、歌のテーマとしては、あるものである。

昨日は、朗読を録音しながら、
僕などは、中学の卒業写真などを、思い出して、
少々、気が動転したことであった。

何度も、NGを出してしまったのである。

「万葉集~ココロ・ニ・マド・ヲ~」に、アップされるのは、
来月だろうか。

動転のあまり、声がひっくり返っているところが、
あるような気がするので、
それも含めて、楽しみにしておきたい、と思うところである。

洋司