水曜日なので、
「万葉集~ココロ・ニ・マド・ヲ~」の
更新日である。
(http://www.manyoshu.jp/)

今週は、文武天皇が吉野を訪れた時の
旅の歌。

吉野の山の嵐は寒いのに、
あるいは、今夜も一人で寝るのだろうか。
という、
これは、天皇自身の歌というより、
旅をする人の共通する感情。

吉野の宮に幸しし時の歌。

中西先生の資料には、
大宝元年(七〇一)二月二十日と同二年七月十一日。
ここは歌意により後者か、とある。

後者とすれば、7月。

7月なのに、
寒い、というのは、
実際に、山の風は寒かったのだろう。

一人で寝るというのは、
寒かったのだろう。

それにしても、
2月にも、吉野を訪れているというのは、
ころこそ、相当寒かったろう、と思う。

奈良に撮影に行く、「万葉集~」のスタッフは、
寒い夜明け前なども、ずっと野外である。
体中に、カイロを貼り付けて、
日の出や「かぎろひ」を待ったりする。
それでも、寒くてかなわない、と。

思えば、
海水が全部蒸発するようなときにも、
地下に潜って、耐え、
氷河期も乗り切り、
生命とは、すごいものであるなぁ。

万葉の頃の、生命を謳歌する、
人や自然と、強く深くかかわる、
その、生命主義、
生命への実感は、
すごかったのだろう。

すごいしか言えない、のであるが、
あの、絶景に接した時の、何も言えない感じか。

なにしろ、もう、自分と世界の区別が、あまりついていない、
ぼーっとした者である。

洋司