非常に、元気な男の人から、
「もしもーし、○○でーす。」と
間違い電話が、ちょうど今、
かかってきた。

朝、彼は、
仕事を始めたばかりの時間であろうか。
元気に仕事を始めるのは、
素敵なことである。

こちらは、徹夜である。

「どちらにおかけでしょう」
と、だいぶ低いテンションで
それでも、怖くならないように気をつけながら、
応えたのである。

「あー、すみませーん。間違えましたー。」と、
またまた、大変さわやかに、言って、
彼は去っていった。

他生の縁。

僕は、普段、ほとんど電話などしないし、
したとしても、
あんなに、元気に、さわやかに、おおくりしていない。

元気な声は、それだけで、
全く関係ないものをも、元気にするものであるなぁ。

いや、僕は、大変元気である。
この節分で、後厄があけたせいか、
ずっと、目の奥の別の空間にあった、
新聞紙をぐしゃぐしゃと丸めたような、
何かが、すっかり消えたような、
それを、思い出そうとしても、
もう、出てこないような、気分である。

洋司