大伴旅人に、

利口ぶって何かとものを言うよりは、
酒を飲んで酔っ払って泣く方がまさっているらしい、

というような歌がある。
前にも、ちょっとふれたことがある。

酔っ払うのが、いいのか。
やはり、中国からの影響もあるのである。

中国の故事にある、竹林の七賢は、酒を飲んで清談をしたと。
そこに、理想的な人の生き方を見るのである。

大伴は、当時、藤原との戦いに、
いくら戦っても、もう勝てない、という現実があった。

戦うのはやめて、酒を飲んで清談をすることで保障される、
生活のあり方、清らかさ、志の高さ、
それがいいのだ、というわけである。

このごろ、僕も、
また、会ってお酒でも、と言っていただくことが、
時々ある。
ありがたいことである。

あぁ、利口でない。
つい、何か、教わったばかりのことを、
言ってみたくなるのであった。

洋司