昨日とは打って変わって、
冷たい雨であった。

雨が冷たいのである。

あの一粒一粒が、皆、
冷たい、
ということが、
嬉しい。

このコートに降りかかる一粒も、
向こうに見える高層ビルディングのてっぺんの一粒も、
同じ。

「天国にいるように寒いね」
というフレーズを、ずいぶん前に書いたことがあるけれど、
心がしーんとするような、
引き締まるような、
今日の雨である。

電車に忘れられた傘を見る。

傘が忘れられた、というより、
傘がなくて困ってる人は、
傘に忘れられた、
という感じである。

洋司