昨日書いた、草の刈られた土手、
新たに、建物が建つらしい。

さらに刈られて、
看板も立っていた。

その数百メートルに、
次々に、建物が建っていて、
夜でも、人通りが増えてきた。

夏に、バッタが飛んでいたのが、
懐かしいが、
そういう場面が、
だんだん、なくなるのかもしれないのである。

「采女の 袖吹き返す 明日香風
都を遠み いたずらに吹く」

志貴皇子の詠った歌は、
都だったところが、今、何もなくなって、
かつて、
采女たちの袖を吹き返していた
あの風だけが、吹いていることだなぁ

などというのであるが、

こちらは、逆で、
あの、バッタの飛んだ草むらも
なくなり、
次々、建物が建つことだなぁ
と。

ここにないものに対する憧れ。
なくなってしまったローマ帝国を、
いつまでも思っている、というような、
最初から分裂を含んでいる、あれである。
一種のロマンティック。

洋司