なぜか、8月と、間違えていたのである。10月、しかもどしゃ降りの中、マフラーも巻いて、ギターケースを持って、朝から出かけたのであったが。帰る頃には、やもうと思っていた雨も、さらに強まり、傘は、さして役に立たず、ギターケースはびしょ濡れである。取っ手から前後に長いギターケースは、濡れるしかないのである。このたびのアルバム『ゆめゆめ』には、このギターケースのことも歌に出てくる。ギターケースなどというと、古賀森男さんの「ギターケースとはぐれたハート」など、すぐ思い出すが、僕の「めじるし」というのにも、肩から掛けるタイプの、ソフトケースが登場する。『ゆめゆめ』に出てくる「オレンジノギター」は、ライブでいつも使用する、グレッチのことのようで、ここに出てくる重いギターケースは、そのギターケースのことのようである。レコーディングでも、初めて、このギターを使用している。真ん中に、小さくリズムを刻む音であるが、ほとんど聞こえない。思いがけず、アルバムの曲解説のようなことになってしまった。あさってのライブでは、思う存分、新曲を歌ってみるつもりである。
洋司
洋司