大伴家持は、万葉集の最終的な編纂を行ったと考えられている。収められている歌の数も、圧倒的に多いのである。14~15歳の頃から、42歳の頃までに五百首近く。それだけに、それほどでもない歌も多いらしく、下手な鉄砲、などという人もある。中国の詩に詳しく、それを和歌に映そうとする作業にも、力を入れていたようである。おぼっちゃんであるが、波乱に満ちた生涯を送っている。それでも、万葉集の最後の歌では、よい事がありますように、などと歌い、それ以後、68歳で亡くなるまで、歌を残していない。なんだか、切ないような、勇気づけられるような。
洋司
洋司