明日香川も今は、空き缶やらビニール袋やらのゴミが散乱しているという。草ぼうぼうで、横をアスファルトの道路が通っている。万葉集の歌を思いながら通ると、これが、あの明日香川なのか、などと、だいぶおしい気持ちになるのである。万葉の頃は、アスファルトの道路も、空き缶もビニール袋もないわけであるが、草ぼうぼうについては、わからない。千三百年前だからといって、草が少なかったこともないであろう。アスファルトがないぶん、昔のほうが、草は多かったろうし、場所によっては、草だらけで、どこが川なのか、わからぬところもあったかもしれない。飛び飛びの石を渡って、思う人のところに、夜な夜な出かける場面では、だいぶ川に落ちたろうと思われる。僕も子供の頃には、藤井川の石を渡っていて、つるっと滑って、ずぶぬれになったものである。整備された明日香川を見たいわけではなく、せめてゴミ拾いはしたいと思うのである。
洋司
洋司