散歩している犬を見ると、どの犬も非常に犬らしい。犬以外の何者でもないのである。誰に教わったのか、角々のにおいをかいでは、そわそわしている。人は、誰にもなんにも教わらずに生きているとしたら、どんな生き物なのであろう。やはり賢く見せようとして失敗するのであろうか。その特質は、悔恨なのかもしれない。犬と悔恨、これは太宰っぽいお話である。

洋司