万葉の時代、歌は社交の重要な道具であった。ある人が、何かお願い事をしたくて、それを歌にする。それを聞いた相手は、そのお願いをちゃんと理解して、返事を歌で返す。「あそこの梅は咲いたかなぁ」と歌われて、「どうでしょうねぇ」では、友達を失くすわけである。会話だけでも、難しいのに、楽しみとはいえ、緊張してしまいそうである。

洋司