夜、足っていると、もう秋の虫が鳴いている。街灯のわきの草の中から、バッタが飛び出して、一瞬、一緒に走る。どこに向かうでもなく、いつたどり着くでもない、ただのジョギングであるが、走っている最中というのは、走っているに違いなく、例えば、宇宙が、もう果てしなく広がってゆくような、そんなものの一部なのであった。

洋司