昔、広場だったところに久しぶりに行ってみると、草木が生い茂り、すっかり別の場所みたいになっていた、ということがある。たった、数十年なのに。
昔、建物があったところが、すっかり広場に変わっていて、その向こうの道路や家々などが見えて、よけいに寂寥感みたいなものを覚えたことがある。
明日香から藤原に都を移して、何にもなくなった明日香宮跡を歌った、志貴皇子の「采女(うねめ)の袖吹き返す明日香風京(みやこ)を遠みいたずらに吹く」、好きな歌である。

洋司