傘を差している時に、雨が上がる。歩いている人たちが次第に傘を閉じはじめたり、通り過ぎる車がワイパーを動かしていなかったり、水たまりが静かに澄んでいたり、鳥が鳴いたり。それらを見聞きし、傘を閉じてもいいかと思う。いろいろ思っているあいだに、目的地に到着してしまうか、もうちょっとで到着するかという時など、雨は上がっているのに、傘を差しているということは、ある。雨の線路の高架下などをくぐる時、傘を差したまま通る。雨の降っていないところで、雨傘を差すというのと、雨が降っているのに、手に持っている雨傘を差さずに歩いているというのと、シュールで、ファンタジックな、世界の人々であろうか。

洋司