主音に対して三度、ドとミを同時に鳴らす。ギターで鳴らせば、胸骨に響いて、その響きを楽しむ。ミを半音下げると、それだけで、非常に不安な、悲しげな響きになり、胸の中まで、なにか切なくなるのが面白いのである。この悲しげなものも、次に、ミのフラットが元のミにもどるのだと感じれば、非常に奥行きのある希望として、艶やかに迫ってくるものがある。これは、たんにドとナチュラルのミを鳴らしたときの明るさよりも愛しい明るさである。もし、ミがフラットのまま、ナチュラルのミにもどらないままであったとして、どうしたらそれを楽しいものだと感じられるか、ドとフラットのミを鳴らしながら、楽しい、と言ってみる。遠い草原のような風景が淡く見えてくるが、一方で、あの有名妖怪漫画の主題歌の「楽しいな」っていう部分をも思い出す。すごい「楽しさ」である。マイナーコードは、縁あって「ため息の~」を作ってから二十数年の付き合いになるが、今こうして、ドとミの和音を、ミをフラットさせたりもどしたり、しばらく、そういうことを楽しんでいるのであった。

洋司