遠くにぼんやり桜の並木が見え、うっすらと色づいているような気がするのである。夏には、あれほどに、緑も濃厚に匂うような並木が、冬にはすっかり葉を落とし、寒々と乾いた風が通り過ぎた並木が、また何かになろうとしているようである。不気味といえば不気味でもある。

洋司