永井荷風、武田百合子、の日記も時々読んでいる。荷風は大正6年の38歳のときから昭和34年79歳の死の直前まで書いている。前にもここに書いたけれど、壮絶な個人主義者で、世の中のことは関係ない風を装いながらも、時代を見つめ続けている。庭の花が咲いたとか、鳥が鳴いたとか、時を越えて、伝わってくるようである。武田は、昭和39年から51年ごろの日記で、カレーがいくらだとか、大根をもらっただとか、ま、僕らが子供の頃の時代の、ごく日常的な感じが面白い。兼好の徒然草もそうであるが、時間やシチュエーションなど、まったく違うものを、同時進行で、楽しませていただいている。

洋司