電車の座席に座っていると、前に立ったサラリーマン風の二人、ずっと、こたつの話である。若いほうが部屋にこたつ付きテーブルを買ったと。先輩のほうは、彼がテーブルとこたつを買ったのだと思い込んでいるようで、話がかみ合わないのである。関西弁の二人の会話は、漫才のようで、こちらは本を読んでいたが、もう一行も頭に入らないのである。真下から顔を見上げるのも失礼なようなので、ずっと本に目をやったまま、声の感じから、その二人の顔を想像していた。知り合いの関西弁の方と声や話し方がよく似ているので、その方の顔を思い浮かべていたのである。笑いながら話す二人、楽しそうである。
降りる駅が同じであったので、その時に、ちらりと見てみると、二人の顔は想像とは全然違うのである。突然、現実が力強く迫ってきて、このときに味わった想像と現実のずれは、少々楽しかった。それにしても、こたつの話だけで、よくあれだけ話せるものである。まわりの客、特に僕へのサービスか、と思うほどであった。
洋司
降りる駅が同じであったので、その時に、ちらりと見てみると、二人の顔は想像とは全然違うのである。突然、現実が力強く迫ってきて、このときに味わった想像と現実のずれは、少々楽しかった。それにしても、こたつの話だけで、よくあれだけ話せるものである。まわりの客、特に僕へのサービスか、と思うほどであった。
洋司