1960年になると、アメリカではすでにブルースの人気は下火であるが、ブルースのミュージシャンたちは、ヨーロッパのプロモーターに呼ばれ、ヨーロッパ各地でショーをし、人気を得る。アメリカと違い、ヨーロッパでは、ブルースマンらは、敬意を持って迎えられた。
60年代初期のイギリスでのショーには、まだ無名のクラプトン、ジミー・ペイジ、ストーンズのメンバーら、皆、見に行って、衝撃を受けたのである。イギリスで若者らがブルースを取り入れた音楽をはじめ、成功するとそれがアメリカにも伝わり、アメリカでもブルースの人気は復活し、70年代初期には、日本にもブルースのブームが訪れる。もちろん音楽の衝撃はあったとしても、イギリスでの影響は、言葉が直接わかるというところが大きかったろう。当時の映像を見れば、白人の観客ら、静かに歌を聞き、歌詞の三行目で、ニヤリとしたり、興奮したりしている。思いがけない韻ももちろんであるけれど、南部なまりのニュアンスだとか、ネイティブならではの伝わり方があったのだろうと思うと、これは非常に羨ましい。

洋司