新品のときのいかにも新品という感じは、時とともにどうしても失われるものである。時々、レトロとかで、昭和三十年代、四十年代の保存状態の良好な家財道具一式の展示を見ることがある。懐かしいような気もするけれど、僕らがかつて見ていたそれは、新品だったのに、ここにあるこれらは、非常にきれいであるけれど、古い。それなので、これらは、今のもので、あの頃のものではない、と思ってしまうのである。当時のものを忠実に再現した新品の白黒テレビとか、ジューサーミキサーなどが、ある日、ダンボールに入って、届いたりなどしたら、非常に懐かしいような気がしそうなのである。
洋司
洋司