鈴虫は涼虫だろうと思ったところである。虫の種類はよく知らない。
ファーブルは、口を開けて、目を閉じて、人は口で風やら温度などを感じるのだ、と本気で思ったそうだけれど、子供だった当時、友達らからは、それはなかろう、と。僕は口を開けて自転車に乗っていたら、一瞬、通りすがりの蜂が口に入ってきて、刺されかけたことがある。刺されかけた、は大げさかもしれないが、蜂としては、そこで刺さねばというシチュエーションであったろう。
同じ頃、小銭を握り締めて、自転車でお使いに行っていたら、その時は口は閉じていたが、前から車が来、握っている手でブレーキをかけそこね、同級生のうちがやってるパーマ屋さんの洗濯機に激突したことがある。その時に膝を怪我し、たいした怪我ではまったくないのであるが、今でもあとがある。そのために、その時の様子を、リアルに記憶している。非常に大きな音がした。洗濯機の構造によろう。太鼓のような空洞だからだ。それにしてもである。雷の音と大太鼓の音の似ていることといったら。
鈴虫に始まり、大太鼓に終わる、本日はなかなかにぎやかな妄想である。

洋司