花畑が広がる美しい絵画を、いったいどうなっているのかと近くに寄って見てみれば、絵の具が点々と、けっこう雑に散りばめられているだけである。
シルクの輝きや銀の食器が描かれている。いったいどうなっているのかと思って、近くでよく見てみれば、白の絵の具がかすれているだけである。
人にそっくりの彫刻。写真で見て、これは人だろうと思って、会場で見てみれば、高さ10センチばかりのものだったり。
近寄ってみても、近寄るほどに、ますます人には見えなくなったり。いくら見ても、その本質を、というか幻想なのか、それを目撃できないものがあるものだ。

洋司