高校のとき、同級生に図書室の本をほとんど読んでいると噂の女子がいて、尊敬したものだ。僕は読書が苦手だったからだ。図書室の先生に言われて、個人的に感想文を書いて持っていくようになって、ちょっとずつほめられたりするうちに、もうちょっと読んでみようと思ったものだが、借りても結局読まずに返したり、読みもしないのに読書会に参加して、適当な意見をいったりしていて、思えば恥ずかしい。今の小説を楽しく読んだり、感動したりもするけれど、ふと三島由紀夫とかドストエフスキーとかを読むと、ま、読む前からの気分も違うんだろうけど、ひっくり返りそうになる。カラマーゾフなどは、二十歳までに読まなきゃ意味がない、みたいな言い方をされる。わかるような気もする。僕だって思春期の頃に読んだ本には、いまだに影響を受け続けているような気がする。それだけに、いろんな本を早く読んで、いろんな影響の中ですごす毎日を送りたいが、いつでも読めるぞと思ううちに時間はどんどん流れるのであった。
洋司
洋司