小学生の頃にリコーダーを習うが、僕は下手だった。
運動会の鼓笛隊で、副旋律を吹かねばならず、やはりあまり自信のない友達の家に行って練習をした。
二人でああでもないこうでもないと、さんざん取り組んで、やっとなにかを吹けるようになり、やや上気した状態で、「僕たち、やったね」「うん」などと言い合いながら道を歩いていたところ、近所に住む同級生の女子とすれ違った。
女子、言ったものだ。「さっき吹いていたのは、あなたたちなの? 何か吹いていたね。副旋律とは全然違ってたみたいだけど」。
本番は、小さい音で吹くことにした。

洋司