「きのう」のことを「昨日」と書くとはじめて知ったときには、美しいなあと感じた覚えがある。「きのう」そのものには感傷的な意味合いとか詩的ななにかは特に含まれている必要はないけれど、「きのう」という響きはなんだか不思議な音だ。夜を隔てて向こうに去ってしまった、もう戻らない日を、なんと言おう、と思ったときに、しぼりだすようにして「きのう」と言ったような。「昨日」とはやはりちょっと違うニュアンスを感じるね。

洋司