「ヒッ ヒッ ヒッ」と、甲高い声がして、弟はその時、非常に怖がったのです。
小学生の頃、ある夜、寝ようという時間です。僕もその場に居合わせ、「ヒッ ヒッ ヒッ」を聞きましたが、僕には怖くはなかったんです。というのも、「ヒッ ヒッ ヒッ」は、風呂場かどこかの電気かなにかをつけっぱなしにして、弟が去ろうとしたところを、母が、灯をつけっぱなしだ、という意味で、「灯(ひ)、灯、灯」と言ったのが、わかったからでした。もし、そうと知らずに聞いていたら、怖かったのか、ずっと考えたものですが、いくらお化けでも、「ヒッ ヒッ ヒッ」はないだろう、と思うところです。

洋司