日本人が象など知らない頃、象の絵を、人からの聞き伝えで、絵師が描いたというような絵を見たことがあるけど、その、おしい、という感じが非常に面白い。ちなみに、「象」を辞書で引くと、「熱帯産の巨大な獣。全身灰色で、長い牙と自由に屈伸する長い鼻を持つ」とある。これで何も知らずに、想像図を描くと、奇妙なものになる。だいたい、想像図は、実物とは違うが、実物と比べたときに感じる面白さのために、想像図は、たくさんあるほうがいい。未来の人間なら、アゴが小さくて頭が大きい。おかしな気がするが、ちょっと長生きすれば、これは見れるかもしれない。

十年ほど前に、テレビで、三十年先の自分の姿を、催眠術で見て、それを言うというようなのをやっていた。その人は、自分が、丸い乗り物に乗って、ロケットみたいなものが行き来する空港みたいな場所にいるのだと言ったが、あと二十年ぐらいして、とりあえず、丸い乗り物を見るのを、待ち遠しく思っている。

洋司