29歳のころに、5~8歳ほど年上の方々と会話していると、久保田はまだ20代なのかぁ、と言われたものであるが、このごろになって、同じ方々と年齢の話になれば、久保田ももう、というふうに言われたのが面白かった。その間、10年ほどあるが、その方々との集まりは、年に1回あればあるほうだから、単純に10回お会いする間に、10歳年をとったという感覚である。

映画「ゴッド・ファーザー3」で、回想シーンとして、1作目のあるシーンがふとあらわれる。1作目と3作目の間には、設定上は30年ほどたっているのかな、現実の年月も20年近くたっていて、アル・パチーノだって、初めはほとんど無名で、低予算で若い監督で制作された「ゴッド・ファーザー」がその後大ヒットするとも知らずに、演じている素朴なシーンである。なんとも泣けて好きなところである。3作目は、駄作だという人が多いそうであるが、僕は、年月を経た3が見られることに、すごい喜びを感じたものである。

金子みすゞじゃないけど、みんな違って、みんないい。

洋司