80年代は、いろんなことがすっきりまとめられて、なんだか洗練されたような、自然と人とが、いよいよ別々に生きはじめたような印象をうけたものであるが、これはまた非常に主観的なことで、何によってそれを思ったかといえば、楽器店で売られている、BOSSのオーバードライブの形状だったりする。今でも持っているが、ターボ・オーバードライブというやつ。レベルとトーンとドライブのつまみとあわせて、ターボのON、OFFを切り替えるつまみがついている。ザ・東南西北のライブでは、ターボなど必要ないのであるが、当時なんだかそれが最先端の機材のような気がして、店で形状を見るなり、購入したのである。しかし、その音には、ついに納得いかなかった。オールドのストラトとは合わなかったのである。後にサンズ・アンプを購入してからは、ライブでは、サンズ・アンプオンリーである。
90年代には、足元に置くだけで、200種類ぐらいのセッティングで、さまざまなエフェクトを自在に操れるという、マルチ・タイプを使ったこともあるが、恥ずかしくなってやめた。今見ても、ターボ・オーバードライブの形状は、洗練されたものと思うが、いろんなものが、だんだんに自然な柔らかなフォルムになって、というか、もどって、というか、その中で見れば、どうも、かたい、何でもできるが、そのぶん不器用な、素敵なヤツだけど、なぜか一般からは、ちょっとだけ敬遠されるような、そんなタイプに見えたりして、ま、手放せずにいることには変わりない。

洋司