1909年、カナディアン・ロッキー山中のバージェス頁岩から発見された五億年前の奇怪な化石動物郡。カンブリア紀の生物たちである。発見当時、その生物たちは、現生する節足動物のグループとして分類されたのであるが、約半世紀後、研究の結果、それらの動物郡は既存の分類体系のどこにも収まらない生物たちだということがわかった。その化石生物と謎に取り組んだ研究者たちのことを書いた「ワンダフル・ライフ」という本が、僕は大好きで、93年、この本が出た頃、ずいぶんはまっていた。
当時、フェビアンの古賀森男さんと、BL.ワルツの松岡モトキさんとともにバンドを組んだ。そのバンド名を、アノマロカリスとつけた。アノマロカリスとは、カンブリア紀の生物の中でもずば抜けて大きく凶暴だった生物の名である。三葉虫などを噛み砕いて食っていた。昔の研究では、この生物の、口が、摂食器官が、尾びれが、それぞれ一つの生物だと考えられていたが、実は、巨大な一匹の生物のパーツだったのである。最大の標本で、全長はほぼ60センチ。古賀さんや松岡さんにも、本を読んでもらい、バンドのオリジナル曲を、何曲も作った。別のバンドのメンバーだと思われていた、三つのパーツが実は、一つのバンドであった、というようなつもりである。古賀さんがドラム、松岡さんがギター、僕がベース。リハーサルもきっちりやり、ライブは2~3回やった。
その頃、僕などは、どこにいっても、カンブリア紀の生き物の話ばかりしていた。テレビの音楽番組の取材でも、ライブのことを話さなきゃいけないのに、五億七千万年前云々などと言って、あきれられた。この研究を取り上げた番組がテレビで放送されたとき、CGで再現された当時の海の中の様子など見て、わくわくしたけれど、なんといてもアノマロカリスの動く精巧な模型を作って、プールの中で泳がせた時には、もう興奮した。当時、東急ハンズに、アノマロカリスの復元模型が売られていた。たぶんほぼ実物大。ちょっとキューピーさんみたいで、その割りに高価だった。
洋司
当時、フェビアンの古賀森男さんと、BL.ワルツの松岡モトキさんとともにバンドを組んだ。そのバンド名を、アノマロカリスとつけた。アノマロカリスとは、カンブリア紀の生物の中でもずば抜けて大きく凶暴だった生物の名である。三葉虫などを噛み砕いて食っていた。昔の研究では、この生物の、口が、摂食器官が、尾びれが、それぞれ一つの生物だと考えられていたが、実は、巨大な一匹の生物のパーツだったのである。最大の標本で、全長はほぼ60センチ。古賀さんや松岡さんにも、本を読んでもらい、バンドのオリジナル曲を、何曲も作った。別のバンドのメンバーだと思われていた、三つのパーツが実は、一つのバンドであった、というようなつもりである。古賀さんがドラム、松岡さんがギター、僕がベース。リハーサルもきっちりやり、ライブは2~3回やった。
その頃、僕などは、どこにいっても、カンブリア紀の生き物の話ばかりしていた。テレビの音楽番組の取材でも、ライブのことを話さなきゃいけないのに、五億七千万年前云々などと言って、あきれられた。この研究を取り上げた番組がテレビで放送されたとき、CGで再現された当時の海の中の様子など見て、わくわくしたけれど、なんといてもアノマロカリスの動く精巧な模型を作って、プールの中で泳がせた時には、もう興奮した。当時、東急ハンズに、アノマロカリスの復元模型が売られていた。たぶんほぼ実物大。ちょっとキューピーさんみたいで、その割りに高価だった。
洋司