今でもやってるかどうか知らないけれど、昔、新しく建ててる途中の家の、骨組みが出来たくらいのところで、「餅投げ」とかいうのをやってたものである。その家の関係の人らが、骨組みの家の、ちょっと高いところから、餅を投げるのである。「餅投げ」だ、といえば、僕らのような近所の子供らや、大人たちも皆、紙袋かなにかを持って、そこへ集まって、餅を拾うのである。なんというのか、その家やご近所の繁栄、あるいは作業の安全を願ったり、家が建つお祝いだったりの、お祭的なものか、釘を打つ音とかでご近所をお騒がせしていることへの、ご挨拶のような意味なのか、ま、お餅が、たくさん空から飛んでくる様は、見ものであった。飛んできた餅をそのままキャッチするのは、けっこう難しかった。だいたい、地面に落ちたものを拾った。どろんこになったりしても、皆、喜んで拾ったものである。新しい白木の輝きや匂いなどのせいか、非常に、まぶしい思い出である。
洋司
洋司