「水の匂ひ」小峰きよ。昨年末に、いつも親しくさせていただいている画家の小峰倫明さん、カラクの小峰公子さん兄妹の御母堂が句歌集を発行された。年末に、倫明さんからいただいて、すぐ拝読した。御母堂には、何度かお会いしたことがあるが、本当に、友人のお母さん、という感じの方で、これといって会話のようなものをしたのでもない。本には非常に繊細で且大胆な目線での、素敵な句や歌がひらめいていて、倫明さんも公子さんも、その下に妹さんもおられるが、皆さん、よく面白いことを言われるが、その才を引いておられるのだな、と月並みな感想ながら、素敵だなと思ったのである。戦争の頃のことを綴られた「キナプル」という文には、泣かされた。

装丁、装画等は、倫明さんで、これもとってもきれいである。挿絵に季節の植物を描かれ、これがそっと添えられていて、絶妙である。この本は値段もバーコードもない。倫明さんに電話で確認してみれば、売り物ではないとのことである。小峰家と仲良くなる以外、入手の手段がないようである。もったいないようなことである。
一応、許可を得て、書かせていただいた。

洋司