上京してすぐ住んだアパートは、隣家と密接していた。
レコーディングやら、リハーサルやら、雑誌の取材やら、ラジオ、テレビの出演で、毎日帰るのは、深夜12時をまわった。それから作曲をしたりする。アパートそのものは、若者が住むようなところであるから、深夜といっても、起きている人も多いようであった。
「絵に描いたよりPictureness」という曲は、富田靖子さんへの曲を書いている最中、そんな夜中に、ふとした弾みでできた。靖子さんへの曲を8小説ほど作り、続きを書きあぐねていたとき、弾みでできたのである。深夜であるし、エレキギターをアンプにはつながずに、生音で弾きながら作っていた。ところが、面白い曲ができたので、つい盛り上がって、声が大きくなった。隣家のおばさんから、「何時だと思ってんの」と、しかられた。田舎では、そんなことはなかったので、いい意味でというと変だけれど、ちょっと怖かった。
サイズの松浦さんから、ラジオのテーマ曲を、とたのまれた時、この曲を、そのまま聞いてもらった。家で夜中に小声で録音したテープであった。その小声が面白いといわれ、サイズとのレコーディングでは、そのバージョンを録ったのである。

洋司