小学校の低学年ぐらいだったか、縄跳びがだいぶできるようになって、庭で、ことさらに跳んでいたのである。ことさらに跳んでいたわけは、その日、叔母が家に来ていて、母と縁側で話していたからである。
僕はもう、汗だくで、ランニングシャツかなにか、一枚になって、いい調子で跳んでいたのである。ま、見せびらかしである。

僕はまるまると、というような体型であった。運動会でも、足首を見ただけで、僕とわかるので、両親も祖母も、大勢の児童の中で見つけやすいと、言ってくれ、ま、ほめられたような気がしていた。
ことさらに縄を跳ぶ僕を見て、叔母は、「よく跳ぶねぇ」と言ってくれた。そのあとに、あろうことか、まるまるとした、というときによく使う比喩での、とある動物の名を出して、それが、縄跳びをしているようだと、言ってくれた。そこに他意はなかったであろう。冗談も通じる、楽しい叔母である。
ま、ちょっとかっこつけて、跳んでいた者には、調子が崩れる一言であった。

よくよく思い出すに、その日僕は、風邪か何かで学校を休んでいたのかもしれないのである。ところが、ほどなく快復し、縄跳びなどをしていた。
叔母はそれを見て、元気でよろしい、ということを言おうとして、つい、見たまんまを言ったのかもしれないのである。
そのズバっと斬る感じが、僕には恐ろしく、それから暫くは、叔母から、逃げも隠れもする、忍者のような小学生になったのである。

洋司