顔というものは、どこかに力をいれていないと、だいぶ、だらけるものである。これはべつに年齢によることでも、ない。この考えは、僕は小学生の時から持っていたのである。朝な夕なに鏡を見、いろいろの表情を研究してみるのであるが、それに飽きて油断すれば、日ごろ無愛想な顔が、さらに47%ぐらい表情を失う。目元、口元には、だいたいいつも力を込めて暮らしていると思うのである。
人によっては、鼻に、耳に力を込めている方もあるかもしれない。力を込める部位によって、その人の表情はずいぶん変わると思うのである。その力を込める場所は、先天的なものもあれば、何かの影響でそうしてることもあろうから、骨格と肉付きだけで、顔というものを判断するのは難しい。
日本人の骨格は、時代によってだいぶ違うそうである。後頭部が大きい時代やら、民族的にはいわゆる出っ歯が多いとかいうけれど、今は昔ほどでもないようである。時代によって、顔の力を込める場所の流行みたいなものがあるのかもしれない。それの微妙な影響で、骨格肉付き等が少しずつ変化するということも、あろうかと思う。だから、わざとぼんやりすることもできるわけで、これは油断のならないところである。

洋司