制作中の曲を何度も歌ってみているところである。曲を先に作り、詞を書き、直し直し歌っている。いいところで録音して提出、しなければ、そろそろ締め切りである。ギター一本でもいいし、いろいろオケを作ってみてもいい。

ジャスラックのHPで大野克夫のインタビューを読めば、「サムライ」など車の中で一瞬で書いたとか、「勝手にしやがれ」はなかなかできなかったとか、非常に面白かった。
僕が自分の曲でいうなら、ザ・東南西北の「君をずっと想っていたよ」は、キャンペーンかライブの九州のホテルで、明日が締め切りという晩に、書けずに寝てしまい、翌朝集合時間までの何十分かで書いた。アレンジャーに譜面をFAXし、電話越しに曲を聞いてもらったが、どんな曲かわからん、と言われたりしたものである。

どの曲をどうやって作ったか、全部は覚えてないかもしれないけれど、ギターを弾きながら、メロディーを作っている時は、じわーっとなにかが頭の中、後ろの奥の方にわいてくるような感覚がある。お医者さんにそんなことを言ったら、君すぐ来なさい、ということになるかもしれない。

ミスチルのサクちゃんと曲を作った時のサクちゃんの、曲の出し方もとてもよかった。まるであらかじめ考えてきたかのように、ぐいぐいと出す。ま、あの時は、あらかじめ考えてたんだろう。詞も、「アイディアありますから」と持ち帰り、すぐ書いてきた。
古賀森男さんと書いたときも、古賀さん、一緒に考えたギターのフレーズに、いつのまにかメロディーをのせていた。そのいつのまにかの時に、僕も一緒にいたのに、そんなメロディーがやってきた瞬間に、別に雷鳴が轟くでもなく、ドアのベルが鳴るわけでもなく、静かにページがめくられたように、いつのまにかあった。
僕が松田聖子の「マリオネットの涙」の曲を書いたとき、東南のメンバーも一緒にいて、こたつでみかんなど食べていた場面であったが、のちに誰かが、あっというまに作ったじゃないかと言っていた。僕なりに曲折はあって作ったことであったが、それははたから見ると一瞬のことのようであった。

長くなった。
ま、作る限り、そのつどなにかしらの旅があるぞ。

洋司