子供のころに、近所のおばさんが、ブロック塀をこしらえているところに祖母とともにいて、祖母とそのおばさんが話してるすきに、僕もブロック塀をやってみたくて、セメントのかたまりのような、そのブロックを持ち上げてみたのであるが、それがけっこう重かった。持ち上げる力の無い年頃であった。足の上に落とした。そのとき痛かったかどうかは、覚えていないのであるが、母に連れられ、医者に行ったら、バイクで転んだとか言う男の人がいて、その怪我した掌を見せられたちょっと書くのをはばかられるような、痛そうな掌で、その男の人、バイク乗るなら気をつけろ、みたいなことを薄笑いで言った。
こっちは5歳ぐらいだったか、足には頑丈に包帯。しばらくケンケンしていたと思う。治った時には祖母が二段ベッドを買ってることになった。僕がそれを欲しいといった気がする。ま、そんな年頃である。
でも、ベッドが来たのは、まだ完全に治る前であった。包帯の足ではしごを上るのを、祖母らが「気をつけて」など言いながら見ていた。ケンケンでも上手くはしごを上れるのが、少々得意であった。ま、そんな年頃であった。
僕は上、弟は下。弟は、親戚にもらったゴリラの縫いぐるみ「ちょうすけちゃん」がないと寝られないと言っていたが、僕にはそんなものはいらない。それにしても、その上の段から、僕は寝ているときに、下の板張りの床に落ちたことがある。父がおどろいて飛んできたが、こちら寝ぼけているので、痛くも痒くもなく、またはしごをよじのぼった。列子の酔っ払いのようである。ま、お怪我には気をつけられたい。

洋司