蝉が大声で鳴いている。
あれは、鳴くと気持ちがいいから鳴くのか、苦しくて鳴くのか、なにか、そのへんのもどかしさが、わかるような、わからないような気持ちで聞くのである。なにしろ、壊れんばかりに鳴いているではないか。あの鳴きたい気持ちがわかれば、あるいは、蝉式発散方などあれば、なにか、世の中のためにもなりそうな気もするほどである。
どんな歌手が、大声で気持ちよさそうに、歌い上げても、蝉の発散には、負けている気がするのである。喉でなく、胸から直に音が出ている。すごいことである。

洋司