私は英語は文盲に近い。


中1の時、私はアルファベットが書けず読めなかった。

筆記体を見て、キレイな文字だと、新しい学問にわくわくしていた。


筆記体を早く書いてみたくて、教科書に書いてある文章をノートに写していた。

Thisisapen.

句読点もないし、もっと長い文章だったら、どうやって読むんだろう…と思っていたら、友人が

「やだーまけこ、それじゃ読めないよ。単語と単語の間は、一マス空けるんだよ~」


へえ、そんなんだ、と思うのと同時に、

なんでそんな事知ってるの?

自分が知らない事にちょっとショックを受けた。




私達の学年は、他の学年より人数が多くて、10組まであった。

英語の先生が足りないとかで、

私のクラスの英語は、数学の先生が担当した。


フジワラ先生という美しい女の先生だった。


フジワラ先生は、発音を教えられないので、音読はテープを聞いてリピートする。

順番に音読していく。

元気のいい女子が、元気よく読みあげた。


「ジス イズ ア テェボー」


やんちゃな男子数人が、一斉に冷やかした。

「テーボー、だってよ、変なの!テーブルなのによ!」

みんながどっと笑って、○○ちゃんは真っ赤になって、泣きそうだった。


フジワラ先生は、男子をキッと睨みつけた。

「何を笑ってるんだ!

テープとちゃんと聞いていたら、そんな事は言えないぞ!

○○さん、テープの通りに読めたわね、偉いわ!」


フジワラ先生は、怒ってもキレイだなぁ…

でも、テープは

辞す 伊豆 あ 低坊

とは言ってない…そんな風には読んでないなぁ…

と、フジワラ先生の顔を見ながら、私は思った。


○○ちゃんは、二度と、テーボーとは読まなかった。

フジワラ先生には、発音を教える事は出来なかったんだろう。

私達は、1年間、「テーブル」と発音していた。



私にとって英語は

他人より劣っていて、

口にすると恥ずかしい思いをするものだというモノになった。


他の科目は、授業を聞いていれば「5」が取れるが

英語はさっぱり分からなかった。



だって、塾に行かせてもらえなかったんだもん、

だって、参考書を買ってもらえなかったんだもん、

だって、数学の先生が教えてたんだもん…

言い訳だとは分かっていた。

恵まれた環境じゃなくても、英語が出来る人はいくらでもいる。



分からないまま、ずっと生きてきた。英語が全く読めず聞き取れず理解できず話せなくても、不便はない。



が、実は不便だったんだ。


夫の仕事の関係で、たまに海外に出ると、誰かに一緒にいてもらわないと、不安で狂いそうになる。

夫は、自分か、自分が無理なら会社の誰かを手配してくれた。迷惑な話だろうと思う。


バイトをしていると、たまに英語で話しかけられる。

ひとっ言も発せられないのだが、仕事だと逃げるわけに行かなくて、かなり困る。



世の中に、NHKラジオ講座があるというのを、雑誌の対談を読んで、つい最近知った。


へたれな家計簿-英語


もちろん基礎英語は、1。中1レベルだ。


英会話を聞き出して1ヶ月後。

仕事をしていたら、背後から声を変えられた。 Excuse Me!


咄嗟にYes.と振り返ると、


Oh. Can you speak English?


インド系と思しきお客様は、丁寧な分かりやすい英語で、探している物を話し出した。

私はまだ挨拶までしか勉強しておりません( ノД`)シクシク…