「伊勢型紙の美」 |     みやこわすれの料理・つれづれ記

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檀れいの”手わざ恋々 和美めぐり”を見ました。


”江戸小紋”などの型染めに用いる、精緻(せいち)な文様とデザインには、人の手


の、無限の可能性を感じさせる美しさがあります。


繊細さ、優美な世界を、うつし出していく「伊勢型紙」は、日本の暮らしと、古くから


関わっていました。


”江戸小紋”が、「伊勢型紙」を染め上げたものだということを、知っている人は、


少ないんではないでしょうか。


江戸時代、太平の世になり、人々に、おしゃれ感覚が芽生え、華麗で優美な世界を


描く、「伊勢型紙」は、庶民のファッションに欠かせないものとなっていったのです。


「伊勢型紙」の手彫りのわざは、1ミリもない世界で、一つ一つの小さな柄が、


組み合わさると、それは、無限の広がりになります。


”江戸小紋”は、遠目には、無地の着物、近くに寄れば、繊細な柄が、浮かび


上がります。


2010年、紫綬褒章を受章した、3代にわたる小宮康広さんは、「伊勢型紙」を


使って、染めています。


「伊勢型紙」の彫刻師 宮原敏明さん、いわく、錐彫(きりぼり)は、高度な技術と


修練が必要。鮫小紋は、錐彫の中で、最も難しいということです。


私も、若い頃、あかね色の鮫小紋の着物を持っていましたが、そんなに、手間ひま


かけたものとは、知りませんでした。


"江戸小紋”は、昔、武士の裃(かみしも)に、つけられました。


質素・倹約のため、色は、黒・ねず・藍・茶と決められ、武士たちは、せめて、その


柄に凝った(こった)のです。


「伊勢型紙」は、三重の白子(しろこ)で、作られています。


2010年、紫綬褒章を受章した佐々木正明さん。


突き彫・道具彫・縞彫・錐彫・極鮫と柄が細かいほど、職人達は、腕を競って


きました。


縞彫で、限りなく無地に見える、精緻な細かい柄。


そして、”柿渋”を塗るのは、昔から、女性の手わざです。


息を吹きかけて、余分な”柿渋”を吹き飛ばすのに、女性の吹く息が、ちょうどいい


からです。


「伊勢型紙」は、美濃の3枚の和紙を、張り合わせるのです。


”柿渋”を作るのに、3年かけ、けやきの板の上で、天日干しが、出来上がるのに


1か月半、そして、1年ねかすのです。


世界に誇れる”日本人独特の細かい手作業”です。


着物を着なくなってきた現在、「伊勢型紙」は、障子や行燈(あんどん)等のインテリア


として、世界を広げています。


長く、日本文化の裏方と徹してきた「伊勢型紙」が、ようやく、主役に出てこようと


しています。


伊勢型紙
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