スペインとサッカーと日本

スペインとサッカーと日本

マドリッド在住
スペインの文化、習慣を学び、
日々日本を想う。

いつか日本にこの学びを還元したい。

スペイン生活からの学びと大好きなサッカーで得た感性、経験をいつか日本へ還元したいと日本を憂う気持ちを綴るブログです。

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スペインで生活、仕事をしていますとスペインの方だけでなく本当に色々な国の方に出会います。スペイン語を母国語とする国は世界中にありますので、ヨーロッパの方だけでなく南米系の人や、アジアではフィリピンの方を多く見かけます。


第二次戦争時に、アジアの拠点としてフィリピン、南米ではアルゼンチンやコロンビアなどがスペイン領であったので、1日24時間のうちスペイン本国を含め、スペイン領の地では太陽が沈んでいる時間帯が無かったことからスペインが太陽の国と呼ばれる由縁であると聞きました。


歴史的な背景も在りますが、スペインにはアジア、南米、ヨーロッパの方々と本当に色々な方と出会うことが出来ます。日本に居ると外国の方を見かける機会は少なく、外国語を使える機会というのは英会話に通うようなケースが基本であり、日常の生活に色々な国の方が居るといういう環境は馴染みがないだけで、他のヨーロッパ各国、アメリカなどでも状況は同じでしょう。


そして、ビジネスの面で言いますと、スペインは他のヨーロッパの国々と比較すると、南米やアジア系の方が多いこともあるのか、不景気の影響からなのか、人件費や生活費がとても安いそうです。


そのため、この人件費、生活費が安いという利点を活かしスペインをビジネスの拠点としているケースを良く見かけます。


例えば、イギリスのカード会社で働いている友人が居るのですが、彼の仕事はイギリス国内のお客様向けのコールセンターです。コールセンターの物件費、事業の運営費、スペインでの社員の生活費をイギリス国内と比較して安価であるため、コールセンター事業をスペインに移しているのだそうです。



日本でも自動車産業や電子機械産業の製造拠点がアジアの国々に拠点を持つのは聞きますが、コールセンターなどのサービス事業に海外拠点を置き、社員の生活拠点も移すというのは日本では聞いたことが無かったので驚きでした。


また、私の勤めている企業ではアウトソーシングが盛んです。職場で仲良くなったマレーシアの方とインドの方の企業は資本母体はイギリスにあり、インドとマレーシアに支社を持ち、技術者を確保して、欧米で事業展開をしているそうです。


私の勤めているようなインフラ産業では世界標準の技術仕様がありますので、運用経験やノウハウによって個人の技術差は出るものの、特に設備の導入や保守に関しては仕様マニュアルに沿って進めていきますので、仕事をするために長い経験や深い知識を必要とするような、いわゆる“職人”というような技術の需要が低いのです。


このような個人の技術が左右するよりも、標準化された仕様に沿って進めていくような仕事はこれからますます、コストを抑えた運用、すなわち発展途上国の多い、アジアや南米等に流れていくのだなと日々感じています。


スペインは現在、失業率21%と不況の真っ只中ではあるものの、もともとマドリッドはヨーロッパ内5位の経済都市でありますし、スペイン語圏を多い南米には多くのビジネスチャンスがあり、南米とのつながりが強いことから、多くの可能性を感じます。


今後、日本でもコスト競争が進む中でコールセンター等の運用費を抑えるために、サービス拠点をコストの安価な東南アジア国に移して、日本人も移住し、日本向けのサービスをしたりということも起こりうるのかもしれません。


コスト削減は企業の利益確保のためにますます重点が置かれてきますので、特に機械、電子産業等のコストが安価な発展途上国の企業へのアウトソーシングが進んで行くかもしれません。


政治起点からの日本の国際化、外国人労働者の促進などはなかなか進みませんが、経済起点で、日本の国際化が進んでいくのかもしれないなと思う今日この頃でした。



私はスペイン語が話せません。決してスペイン語の習得を諦めているわけではないです。スペインに来るにあたり準備を怠っていたわけではありませんが、まだまだスムーズに会話が出来るほどのレベルにはいたっておりません。しかしながらスペイン語が話せないことにより、スペイン人とのコミュニケーションを取ることや人間関係を構築することに難しさを感じることもあります。


そういった状況の中で、人間関係を構築する上で自分が一方的に相手に興味を持ち、積極的にコミュニケーションを取ろうとするだけでは関係構築は難しく、相手に自分の事もしくは日本について興味を持っていただくこと、相手に対して自分とのコミュニケーションが何らかの付加価値とならなければスムーズに人間関係を構築することが出来ないと感じています。


職場だけでなく、スペインでの生活の中で、友人のような関係を作れるケースは自分が考える中で次の4つです。


1.同姓(男性)

2.年齢が近い


3.趣味が同じ(私の場合はスポーツ、サッカー)

4.日本に興味、関心がある


人によっては異性とのコミュニケーションの方がとりやすい人もいるかもしれないですが、異性(女性)とのコミュニケーションについては恋愛感情など誤解を与えかねないですし、私の場合は男性とのコミュニケーションの方が、仕事では業務のことを、プライベートではスペインでの生活や文化、習慣などの話が純粋に聞くことが出来、楽に感じます。


また、年齢については育ってきた環境が違っても、同年齢の方が、学生から社会に出てからの経験が近い、結婚や育児など家庭状況が近いなどからかコミュニケーションを取りやすく感じます。


趣味については言うまでも無く、私の場合はサッカーのプレーをスペインでも続けている、スペインリーグを欠かさず見ているなど、サッカー大国であるスペインではサッカー好きというのはコミュニケーションの上でアドバンテージになっております。


最後に日本に興味、関心がある人とのコミュニケーションというのが、相手に対して最も私とのコミュニケーションに付加価値を与えることが出来る場合です。


日本に興味、関心がある方は元々、日本に対してのリスペクトがありますので、私のことを好意的に捉えてくれています。その上で、相手が興味、関心のある内容について、私が情報を提供することが出来ることで、私が興味、関心があることについての情報交換についても快く行ってくれますし、スムーズなコミュニケーションとなっています。


一例として、最近は職場の友人と週に1回2時間程度、お互いの言語について教え合う時間を設けることが出来ています。お互いの共通言語は英語ですが、彼は私にスペイン語を英語で教えてくれて、私は彼に日本語を英語で教えています。


彼は日本のアニメーション、漫画に大変興味を持っており、日本にも観光で滞在したことのあるほど親日家であり、将来的に日本での生活を望んでいます。


友人関係ですので全てが利害関係で成り立っているとは思わないですし、友人関係は打算的ではなく、一緒に居て楽しいかどうかのようなシンプルなものだと思っております。


しかしながら、異国の生活の中で、かつその国の言語でスムーズにコミュニケーションが出来ない私にとっては、如何に自分の付加価値を感じてもらい、相手に興味を持ってもらうかということに重要性を感じています。


また、このような人間関係を作るためには、自分に興味を持ってくれている方を探す力というのも同じく重要に感じます。



言葉が分からない中でも、自分に対しての行動、表情、目線などで自分に好感を持っているかどうかというのは感じるものです。そのような感情を察知するためには、いつでも自分の心をオープンにし、スペインでの生活を楽しんでいるということを表現するための笑顔というのは常に心がけております。


私はマドリッド州3部のチームにサッカーをしています。開幕から7試合目、本日ついに初勝利でした!!それまでの6試合6連敗、勝ち点0と最悪なスタートを切ってしまい日を追う毎にチームの雰囲気が重くなっていたので、本日の勝利は大きいです。

連敗している、重い空気の中でのチームのモチベーションの上げ方、練習への取り組み方というのも、欧米の方のマインドを知ることが出来て大変勉強になるのですが、本日はスペインのクラブチーム数から見る日本との競技レベルの違いについて考察してみたいと思います。

まずスペインのリーグについて簡単に紹介いたしますが、スペインは1部~3部までがプロリーグになります。1部には多くの方がご存知のとおり、レアルマドリードやFCバルセロナを筆頭としたリーガエスパニョーラにあり、その下位に2部リーグがABと二つあります。

その下には日本でいうJFLのようなセミプロリーグが存在し、4部は国のセミプロリーグ、そして5部からは各州毎のセミプロリーグになります。

それ以下がアマチュアリーグになり、オフィシャルのリーグが各州に1~4部あります。マドリッド州はマドリッド県一つになりますが、各州は3~4県程度になりますので、マドリッド州3部(国のトップリーグから数えると8部)というレベルを明確に日本の場合と比較するのは難しいのですが、日本でいうと関東リーグ(2部制)から数えると、およそ都道府県の1部相当のレベルではないかと思っております。

企業に勤めている、いちサラリーマンとしては充分なレベルと私個人としては捉えています。

こちらのリーグでプレーをしていてまず驚いたことはそのチーム数です。このマドリッド州3部は12グループに分かれており、各グループに18チームが登録されております。また、ホーム&アウェイ方式の2回総当りになりますので1シーズン34試合もの試合数が組まれております。シーズンは9月から始まり6月までなのですが、12月のクリスマスとスペインの連続休暇を除き、毎週日曜日に試合が組まれております。

このチーム数、試合数は日本とは比べ物にならないくらい遥かに多いです。単純に倍以上になります。人口でいいますとスペインの人口は約4600万人、首都であるマドリッドの人口が約540万人と日本の半分に当たるのですが、サッカー人口という点で比べますとチーム数から推測するに倍以上のサッカー人口がスペインにはあるように思います。

また、このようなスポーツの普及には環境面の構築も大きいです。これだけのクラブチームが存在する中で100%近くほとんどのチームが芝、または人口芝のホームグランドを保有しております。チームによってはスポーツ施設を利用する場合もありますが、U12世代やU15世代のクラブチームを保有した各地域で一貫した選手育成を行うスポーツ事業が多く確立されているため、チーム保有の人工芝グランドがこれだけ多く存在するのだと思います。

日本のアマチュアリーグである、関東リーグでいいますと、1部、2部とありますがそれぞれ8チームの計16チーム、その下の都道府県リーグについて東京を例にとりますと東京1部は15チームになります。

アマチュアのチーム数で比較すると、マドリッド州3部は12グループ各18チームですので圧倒的な違いです。

今年7月、女子サッカーワールドカップにて日本女子代表が優勝しました。選手のインタビューにて、「私達の奨励よりも、女子サッカー普及のために裾野の拡大に注力してほしい」といったコメントがとても印象に残っています。

女子サッカーだけでなく、男子サッカーにおいても、2010年南アフリカワールドカップで優勝したスペインと日本を比較すると圧倒的なサッカー人口の違いを感じています。

今後、サッカーを日本に文化として根付かせ、日本が継続して世界の強豪国と対等に戦っていくためには、サッカー人口は一つのサッカーに対する興味、関心の指針となる指標であると考えます。プロスポーツとしてのサッカーの普及だけでなく、若年世代やアマチュアとしてのサッカーの普及が無い限り、欧州のようにスポーツが文化として根付き、日常の生活の中にサッカーがある環境というのは創ることは出来ず、強いては日本代表チームが世界の強豪国と対等に戦える時代は訪れないのではと感じています。

日本にサッカーだけでなくスポーツが文化となり、学業や仕事を中心に一喜一憂した生活を送るだけでなく、友人、家族とのコミュニケーションのツールとしてスポーツが身近にある社会を作ることが出来れば、今以上にストレスの無い社会が形成できると思います。

汗をかくこと、友人、家族とコミュニケーションを取ることにスポーツは最も優れたツールだと思います。ストレスを溜めない環境というのが欧州にはあると感じます。

日本にスポーツを根付かせる、少しでも貢献できればと思う日々です。