孫崎 享 さんの記事です: (円表示は補足したものです)
Date: Mon, 29 Sep 2014 07:39:22 +0900
Subject: 米国は何故「イスラム国」攻撃をするか―軍産複合体には利益を得る一大機会(アフガン終わる)
米国の軍事行動をみる際、常に考えなければならない要因は、戦争は軍需産業にとって利益を得る最大の機会になるという事である。
このことを一番明確に述べたのは米国大統領アイゼンハワー*である。
*2:09 ビデオ 「ドワイト・アイゼンハワー大統領 軍産複合体の脅威 」日本語字幕
https://www.youtube.com/watch?v=JaPHFht0cCw
一九六一年一月一七日、アイゼンハワー大統領は離任を三日後に控え、国民に演説をする。そこで彼は一つの警告を国民にする。彼は何を言ったか。
「われわれは軍産共同体が不当な影響力を持つことに警戒しなければならない。不当な力が拡大する悲劇の危険性は現在存在し、将来も存続し続けるであろう。産軍共同体が自由と民主的動向を危険にさらすようにさせてはならない」(筆者訳)
アイゼンハワー大統領は巨大な力をもった産軍共同体が米国全体の利益に反して戦争に突入する危険を警告した。第二次大戦の軍事的英雄が米国大統領の座を去るにあたり、国民に残した警告である。
今日、産軍共同体はアイゼンハワーの時代よりはるかに巨大となった。さらに具合の悪いことに以前より悪質になった。徴兵制度をなくした米軍は戦闘能力を維持するため、補給部門を大幅に民営化した。かつての産軍共同体は、武器が旧式になった、新しい技術が出たとして、古い兵器体系を捨て、兵器産業を拡充していく道があった。しかし、補給部門を民営化した後の、産軍共同体には戦争が必要となる。イラク戦争の強力な推進者であったチェイニー副大統領は補給を主体とした企業と深い関係を有していた。こうして、あらたな危険性が出た。
それで「イスラム国」との戦いを見てみよう。
米国、イスラム国との戦いで、また巨額の戦費一日約7600万ドルとペンタゴン・スポークスマン発表。
9月27日付時事は次のように報じている。
「ヘーゲル米国防長官は26日の記者会見で、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」に対する空爆に“1日700万~1000万ドル(約7億6000万~10億9000万円)を費やしており、議会に追加予算の支出を求める”と明らかにした。」
更に27日付AFPは「空爆コストは一か月10億ドル( $1 billion)との記事(Dan De Luce)を紹介した。
***************************
「専門家は空爆費用は一か月19億ドルに上ると予測した。
ペンタゴンは8月一日750万ドル($7.5 million)と予測している。しかし、国防省高官もこの見積もりは低すぎであり、オバマ大統領がシリア空爆命令する前である。
シリアへの各種作戦を考慮すると、予算専門家及び元高官は年間費用は100億ドル($10 billion)1兆円に達する可能性があるとしている。専門家Jim Haslikは「億単位ではなく10億単位の数字になろうとしている」と述べている。
シリア攻撃の一日目、47のトマホークを発射し、F22を運用した。1トマホークは150万ドル( $1.5 million)1億5千万円かかり、 F-22飛行には一時間当たり約7万ドル($68,000)かかる。
アフガニスタン戦争では一週間10億ドル(a billion dollars )である。
2003年のイラク戦争からの費用は3兆ドル、300兆円と推定されている。
オバマ大統領は陸上部隊を送らないとしているが、すでにイラク軍助言など1600名が入っている。戦争介入で費用、人員の投入は増すとみられている。
7か月にわたるリビア攻撃では約10億ドル($1 billion.)千億円要した。
Gordon Adams,教授は一か月12.5億ドルから17.5億ドル($1.25 and $1.75 billion)かかると見積もりしている。偵察飛行も必要となる。イラクでは日60飛行である。
これら費用はthe Overseas Contingency Operations fundで一般国防予算の別枠である。地上軍が1万人規模にならないかぎり費用は巨大にならないとの見方がある。
*************************
記事をシェアするにはこちらから:
http://ch.nicovideo.jp/article/ar633040
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー