孫崎 享さんの記事です：
Date: Sun, 29 Jun 2014 07:53:21 +0900
Subject: ＴＰＰに関してのノーベル経済学賞受賞のスティグリッツの批判（中流層や底辺の人々に害）
ＴＰＰに関しては、
私は「TPPにはさまざまな問題があるがISD条項は国家の主権を揺るがす重大課題です。これまでの経済交渉は国家対国家でした。ISD条項によって、企業が国家を直接訴える。裁判では企業は巨額の資金を投入します。 裁判の基本理念は経済活動で、受け入れ国の法律や制度で期待する利益が得られなかった時に訴えることが出来るというものです。・健康、土地活用、政府調達、知的財産権、規制、税等広範な分野が対象になるとみられています」と問題点を指摘してきた。
この中、少し前の論評になるが、ノーベル経済学賞受賞のスティグリッツが「ＴＰＰは企業に有利に働いても中流やまして底辺の人々に利益を与えるものでない」とする論評を発表しているので下記に紹介する。
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２０１４年３月１５日ニューヨークタイムズはスティグリッツの「グローバリズムの間違った側へ（On the Wrong Side of Globalization）を掲載したが、その主要点。
・ＴＰＰは一片の最富裕層とグローバルなエリートに、その他の人々の犠牲の元に恩恵を与える真の危険がある。こうしたプランが協議されていることは不平等が如何に我々の経済政策の中に響きわたっているかを示すものである。ＴＰＰはグローバリゼーションの間違った運用という大きい問題の一面を示している。
・一般に今日の貿易での協議は第２次大戦以降の関税に焦点があてられた貿易交渉とは異なる。
・今日貿易協定の目的は異なり、世界の関税はすでに低い。今の焦点は“非関税障壁”である。巨大な多国籍企業は各種規制が事業を高コストにして不完全であるとしている。しかし、これらの規制は不完全であったとしても労働者や消費者や環境などを守るという理由が存在している。
・より重要なことはこうした要請は市民の国内的要請に答える形で導入されたものである。
・企業は規制の標準化と言っているが、それは底辺への競争である。もしＴＰＰのような最低レベルでの協定に合意すれば企業はクリーン・エア、クリーンウオタ―法以前の行動形式に戻れる。
・企業は利潤をえるという利益を得るが、敗北者がいる。それはその他の我々だ。
・交渉を秘密裏に進めさせる危険性がある。民主的過程がチェックアンドバランスを行使する余地がない。
・最悪は企業が国際法廷で規制により失われた利益の弁済を求めることにある。これは理論的問題ではなく、すでにフィリップ・モリスがウルグアイに適用している手段である。まるで麻薬戦争のようなものである。
・環境規制の実施を阻害する条項がある。
・後発医薬品の生産を難しくする条項がある。特許制度は保護と経済利益のバランスが必要である。
・金融では米国銀行は危険なデリバティブ（派生商品）を海外で売りやすくしようとしている。
・労働の問題。今日正規雇用を望んでいるけれども職を得られない米国人は2000万人存在する。数百万が職探しを止めてしまっている。失業の理由が如何なるものであれ、ＴＰＰで米国の失業が増大する危険性がある。
・米国は職を海外に出す政策をとってきた。低賃金で作られた製品は安い価格で米国に入ってくる。労働者はこれと競争しなければならないから、バーゲニング・パワーは弱化する。これが中産階級の収入が40年前より低い一つの理由である。
・自由貿易の支持者は賃金のみならず、税や一般国民に利益になる支出を減少しなければならないと主張している。
・貿易政策で多くの米国人が利益を得るような形にするための戦いがある。結果はどうなるかわからない。
・米国にとって不平等の克服が最優先である。ＴＰＰは逆である。
ＴＰＰで企業を豊かにすることは中流層やまして底辺の人々に必ずしも利益にならない。
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http://ch.nicovideo.jp/article/ar565364
孫崎 享
駐イラン大使
外務省国際情報局＊長 1997年-1999年
駐ウズベキスタン大使（初代） 1993年-1996年
＊米国のＣＩＡ，英国のＭＩ６などに相当する
日本の情報局です。でも日本の場合は攻撃性
がないですね。
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