・   (ラエリアンムーブメントアジア大陸ガイドのブログより)
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孫崎 享 さんの記事です:
Date: Thu, 19 Jun 2014 20:08:32 +0900
Subject: 集団的自衛権と憲法(一地方紙に掲載)


今、日本の政治で集団的自衛権が最重要案件となっている。この問題で何が問題か。それは憲法との関係で、日本の体制を揺るがしかねない状況を作っていることにある。



この事情を説明しているのが5月8日付ニューヨーク・タイムズ社説である。


その要点を見てみたい。



・安倍首相は日本の領域を超えて同盟国と共に戦うことが出来るように自衛拡大する方向を進めている。彼が積極的平和主義と呼ぶもの、地球的なより大きい安全保障上の責務を果たそうとしている、



・軍事力を変えようとする安倍氏の試みは憲法解釈の変更を必要とする。それには国会の3分の2の承認と国民投票での承認を必要とする。



安倍首相は政府が憲法解釈を変えることで憲法九条を避けようとしている。これは主主義の過程を覆すものである



日本は民主主義の真の危機に直面している



こうした危惧はニューヨーク・タイムズだけのものであろうか。そうではない。今日本国内のいろいろな所から懸念の声が出ている。


その一つに国民安保法制懇がある。



国民安保法制懇は5月28日に発足した。12名のメンバーで構成され、憲法学者、国際法学者が中心である。しかし、このグループがユニークなのは阪田雅裕氏と大森政輔氏と元内閣法制局長官が二人も入っていることにある。



更に防衛省関係者として、柳沢協二元内閣官房副長官補も参加している。私も参加した。



このメンバーの危機意識は、阪田雅裕元内閣法制局長官の言葉に集約される。



「集団的自衛権を行使できるようにするなら、十分に国民的な議論を尽くした上で、憲法改正で国民の意見を集約し、国民の覚悟を求める手続きが必要だ。憲法解釈と言う、極めて安易な手段による日本の針路の偏向に異を唱える。


憲法九条の解釈は60年にわたって政府自らが言い続け、国会でも議論を積み重ねてきた。国民にもそれなりに定着している。一政権の手で軽々に変更することは立憲主義の否定であり、法治国家の根幹を揺るがすものだ。」



内閣法制局長官という内閣を法律面で支える組織の長が二人も現在の動きに疑義を持っていることは重大な意味を持つ。


私も国民安保法制懇で自分の見解を述べた。その一部を紹介したい。



・今日本は解釈改憲によって日本の「民主主義の真の危機」や、「法治国家の根幹を揺るがす危険をもたらしているが、日本はその危険を冒さなければならない緊急性に直面しているか。



・よく中国の脅威が言及される。しかしこの点は安保条約でカバーされている。安保条約第5条は「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宜言する。」



その他の点をみても、「民主主義の真の危機」を犯してまで法体制を変えなければならない緊急性はない。


日本国民は今、本当に熟慮すべき時にある。



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孫崎 享

駐イラン大使 
外務省国際情報局*長 1997年-1999年 
駐ウズベキスタン大使(初代) 1993年-1996年

*米国のCIA,英国のMI6などに相当する
日本の情報局です。でも日本の場合は攻撃性
がないですね。

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